新型コロナウィルス感染拡大後に備え、健康リテラシーを上げる。

海外ではインフルエンザや風邪でクリニックを受診すると数万円かかることもあるということですが、日本では数百円の診療費で終わることもあります。日本人はクリニックにかかるコストが安いのでクリニックにかかる敷居が極めて低いという事実があります。

日本の医療制度は優れていて、個人の収入に関わらず、ほぼ均一の治療を受けることができます。しかし、このことが、健康意識を高めることに邪魔をしている可能性があります。健康を意識してジムなどに行くことの方が、はるかに高いコストを支払う可能性があるのです。

このような日本人の受診行動を新型コロナウィルス感染拡大が大きく変えた可能性があります。

コロナ禍では患者さんの受診控えが進み、実際に我が国の医療費は例年より低く抑えられています。

もし、この傾向が続くと医師会中心の日本型の医療が大きく変わる可能性があります。

我が国の急速な高齢化に伴い医療費が増加していますが、その増加を抑制するためにクリニックの収入が抑制される政策がとられてきました。都心のクリニックでは看護師を雇う余裕がなく、看護師の代わりに一般事務の方を雇用することも多くなっています。

医師会が現状のシステムを維持すべくアクションを起こしてもリモート診療や受診控えなどはクリニックの収入を大幅に減らし、現状のスタイルを維持することが難しくなっていくでしょう。

どのようになるかは分かりませんが、国民の皆さんが行うことはそれに備えて健康リテラシーを上げることです。

国の医療や福祉政策に期待することはできない状況と思われます。

そのことは、新型コロナウィルス感染拡大が明らかにしてくれました。

 

※202179日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。