医療界の古い良心を守りながら、オンライン診療による効率を追求するということ

オンライン診療は新型コロナウィルス感染症の広がりで大きな広がりをみせています。
患者さんが通院することなくクリニックに受診できるのはとても便利なことです。

しかし、日本医師会の一部の先生からは、批判的な意見が出ているようです。
患者さんを実際に診察しないで薬を出すことの危険性、急変時に患者さんに対して全く責任が取れないほどの距離での診療の問題点などが挙げられています。

このことは、直ぐには出来ないかもしれませんが、新しい医療システムを構築すれば解決するようにも思えます。

 

一方、クリニックの先生の視点からみれば、オンライン診療は自分の地域の患者さんが、遠くの医者のかかることは診療圏の崩壊につながります。

恐らく多くの人がネットで野菜や果物を買うようになると近所の八百屋さんが潰れていくのと同じことが考えられます。

クリニックを守るために便利なシステムが導入されないのはおかしな印象を持ちます。

しかしながら、今回の新型コロナウィルス感染症でクリニックの先生は、自分のクリニックを犠牲にして対応されています。

発熱の患者さんを診る時の診療費では防護服を買うだけの収入にはならず、患者さんを診れば見るほど赤字になります。

患者が感染を恐れクリニックを受診せず、医療収入が激減ていても発熱の患者さんを診つづけています。

 

PCR数を増やすべきだ」という世論形成がされていますが、クリニックの先生は自分のクリニックを閉めてPCRセンターに出向いています。

 

そして、もしその先生が新型コロナウィルス感染症になると長期間クリニックを閉鎖しなくてはいけません。

 

それでも彼らが発熱の患者さんを診るのは、近隣の患者さんをファミリーのように考えているからだと思います。

 

まさに、日本の医療はこのような古い良心によって形成されています。

その良さを守りながらオンライン診療のような新しいシステムが導入される方策を見出さなくてはいけないと思います。

 

このようにオンライン診療の問題を考えても、新型コロナウイルス感染症は医療界に効率の追求と医療界の良心を守っていくことに関する問題提起をしているように感じています。

 

※2020年6月21日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。