生活習慣病医療の問題点

先日のブログで、地方と都市部の患者さんとクリニックのかかわりが異なるのに、新型コロナウィルスの政策が画一的であることをお書きしました。現在の医療システムは、現状に即していないことは明らかです。2016年に我が国の大学病院で初めて行動変容外来を開設しました。私は1985年に医師になり、それまでは、大学病院の腎臓・高血圧内科でいわゆる大学の医師として、研究活動、学会活動を行っていました。私は大学の医師としては、国立国際医療センター虎の門病院に10年在籍したため、臨床現場で多くの経験をしていると自負していました。しかし、医師になって30余年経って、私の外来に通う生活習慣病患者さんが、生活習慣を変えて頂けないことに気付きました。つまり、患者さんに行動変容を齎すことが出来なかったのです。

それは、何故でしょうか?

まず、患者さんの生活習慣病は、現在の医療体制が臓器別ではないことが問題です。

大学や基幹病院は臓器別になっていて、循環器、消化器、呼吸器、腎臓のように分かれていますが、生活習慣病は臓器別ではなく、年齢と共に全身で起こる変化が強く関連しています。

次に年齢と共に起こる体の変化は、連続的で、何処までが健康で、何処からが病気という境界がないということです。それなのに65歳の現役世代では食事制限、70歳からは寝たきり防止のために食べることを推奨するという一貫性のない患者指導が行われています。明らかに人生70年代の医療のままで人生100年時代の医療に対応できていないのです。

更に、医療者が患者さんの行動変容を起すメソッドを知らないこと、国民の皆さんが健康情報を的確に得ることが出来ないという現状があります。

この課題を解決するために、今後も活動していきたいと思います。

 

※2020年11月7日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。