医師の視点と管理者の視点

私の所長を務めている慈恵医大晴海トリトンクリニックでは、今も発熱患者さんを一般の患者さんと厳格にゾーニングして拝見しています。

そのために、1日拝見できる発熱患者数は限られ、受診をお断りするケースもあります。

そのような診療体制を行なっているのは、クリニックの管理上、

  • 他の患者さんにコロナを感染させたら大変
  • スタッフ間でクラスター感染が起きたら大変

などの理由があります。

しかし、先日ある大手銀行に勤める患者さんに伺ったところ「コロナ感染しても本人が大丈夫であれば、マスクして窓口で働いている」ということでした。慈恵医大晴海トリトンクリニックが慈恵医大病院に属するので感染対策には高いハードルを課していますが、一般的な社会とは乖離しているという印象も持っています。その中で、「そろそろ発熱患者さんを、感染対策を行なった上で、一般外来で拝見する。」という提案がスタッフからありました。

私も、それが良いと考えていました。そのことを他の医師に打診したところ「感染数が再度上昇していくという報道もあるので、時期的には適切でないのでは?」という回答が返ってきました。

病院管理としては真っ当な意見と思いましたが、「患者数が増加している時こそ、たくさんの患者さん診るべきではないか?」という医師としての当たり前の感覚が、現場では希薄になっている気もします。

そんな中、慈恵医大では4月から、発熱患者さんの診療体制が大幅に緩和されます。

2024年3月27日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。