私たちのクリニックでは新型コロナウィルス感染症の唾液PCRの外注検査と鼻腔の抗原検査の準備を進めています。
政府の方針は日々変化し、それを元にスタッフに求める私からの指示も日々変わります。
スタッフ全体が共通の認識を持つために、スタッフ全員を集めて今後の方針を話し合いました。
しかし、医療者の感染を恐れるスタッフ、患者間の感染を恐れるスタッフ、検査の精度を重視するスタッフなど様々で、話し合いは検査そのものを制限する方向に進んで行きました。
私が所長を務める慈恵医大晴海トリトンクリニックは、組織的には慈恵医大付属病院に属しています。そのため、発熱の患者さんを何人診ても給与には反映されません。これが一般のクリニックと大きく異なる点です。発熱患者さんを診るのはスタッフに使命感がないと成立しません。
その中で、今まで私がスタッフと話していたのは、戦術についてということが解りました。戦術だけでは様々な問題点が浮かび上がるだけでした。
そこで発熱者が多く出た時に、慈恵医大付属病院へのバックアップ体制の強化、東京都疾病対策課への情報アクセス、近隣のクリニックとの連携、クリニック改装の予算確保等を行うことにしました。
これらは、戦術でなく、戦略にあたります。物事が、スムーズに進まない時に戦術だけで煮詰まらず、戦略を意識することが必要なことを学びました。
※2020年10月29日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。