冬の新型コロナウィルス感染症の準備について

私が所長を務める慈恵医大晴海トリトンクリニックでは、新型コロナウィルス感染症の検査を院内で可能かの検討を行っています。

その中で、幾つかの問題点が浮かび上がっています。

  1. 一般の患者さんが発熱患者さんと接触しないように区分して診療できるか?
  2. 発熱患者さんはコロナ検査結果が判明するまで、何処でお待ち頂くか?
  3. 誰が、患者さんから検体を取るか?医療スタッフの安全をどの様に確保するか?
  4. コロナ診療にかかる経費をどの様に確保するか?

等が検討事項です。

  1. 一般の患者さんが発熱患者さんと接触しないように区分して診療できるか?

私たちのクリニックは外来と健診を行ってます。午後は健診がないので、午後であれば、健診エリアで発熱患者さんを拝見することが出来ます。しかし、冬になると午前中から発熱患者さんを診なくてはならなくなるでしょうから、1番端にある診療室を発熱患者専門ブーストして発熱患者さんを診ることを予定しています。しかし、一般の患者さんが発熱患者さんと接触しないように待合室で区分する必要があります。

 

  1. 発熱患者さんはコロナ検査結果が判明するまで、何処でお待ち頂くか?

院内でコロナ検査が出来るようになったとしても、現時点では判定まで1時間以上かかります。

発熱患者さんが多くなった時に、1人の発熱患者さんが診察を終えてお帰りになった後、どの程度間隔を開けて次の発熱患者さんを診察するかは重要な問題です。1人目がコロナ陽性で2人目がコロナ陰性であった場合は、1人目から2人目の患者さんにコロナの感染するリスクがあるからです。このリスクを最小にしなくてはいけません。

発熱患者さんは、一度ご自宅に帰って頂いてその後で結果をご連絡することになるかもしれません。そうであれば、コロナの結果が出る前に薬を処方する必要も出てくるでしょう。私たちのクリニックでは、新型コロナウィルス感染症感染拡大後は、感染防御の観点からインフルエンザの検査を行っていません。そのことを踏襲するとすれば、どの患者さんに抗インフルエンザ薬を処方するかが問題になります。

 

  1. 誰が、患者さんから検体を取るか?医療スタッフの安全をどの様に確保するか?

コロナ診療にかかる経費をどの様に確保するか?

新型コロナウィルス感染症の感染リスクを鑑みて唾液によるPCR検査が開発されました。これは、患者さんでも検体が取れるので医療者の感染リスクは軽減できます。しかし、インフルエンザの唾液検査は未だ開発されていないので、インフルエンザ検査も行うとすれば医療者が検体を取ることになります。医療者がもし感染したらクリニックの診療継続は難しくなります。

 

4.コロナ診療にかかる経費をどの様に確保するか?

新しい検査の導入には3-400万円かかるそうです。次々と検査が開発されている時期の導入の判断は経営上も困難です。

唾液でより迅速な測定キッドが開発されれば、状況は全く変わるでしょう。それらの器械は無駄になってしまうかもしれません。コロナが収束に向かえば全く無駄になります。

測定機器の導入に対しては資金援助というより、機器そのものを配布した方が現実的な印象を持ちます。

 

※2020年10月17日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。