リモート診療の問題点

新型コロナウィルス感染症の感染拡大によってリモート診療が浸透しています。患者さんにとっては便利なことが多いですが、幾つかの課題があります。

  • クリニックの収入は患者さんが受診することで、保険点数が決まっているので、リモート診療が進んで行くと開業医の経営が成り立たない。
  • 開業医は地域医療の核であるので、その診療圏が壊れることは地域医療の崩壊につながるリスクがある。

これらの問題は、スーパーやコンビニの進出により、一般の酒屋さんや八百屋さんの経営が難しくなっていったことと類似しているかもしれません。しかし、ユーザーである患者さんからすれば、便利であることが優先され、医療界も大きく変革する可能性があります。

 

  • 開業医の組織である医師会も崩壊すれば、現在行っているPCR検査なども出来なくなる。
  • 医療体制が、便利さや収益で再構築されると都市と地方の格差などが出現する。

これらの問題はセイフティーネットの問題なので、直ぐには解決できないものの政策によって乗り越える課題であると思われます。

 

  • 直接患者さんを診ないことにより、十分な診療が出来ない。

この問題については、IoTの進歩により対応できる可能性があるものの、十分な議論が必要です。例えば、リモート診察では血圧の情報を患者さんから聞きますが、脈の乱れなどを聞くことは少ないと思われます。脈が乱れて、心臓の中に血栓の塊が出来て脳に飛ぶという心房細動は高齢者にはよく見られる疾患です。便利なことを選択する時には、従来は、それほど気が付かずに行っていた医療行為のポイントを見直す必要があると思います。

 

※2020年10月6日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。