2面性を整理する。

患者さんに行動変容を促す動機付け面接法という手法があります。

習慣を変えようとする患者さんの気持ちは2面性を抱えています。「ダイエットしたい。」けれど「難しい。」という感じです。

例えば、

患者さんが「ダイエットしたい。」と言った時、

医師が「そうしたら良いですね」と答えると、

患者さんが「だけど、ダイエットは難しいですよ。」と言い出し時、

医師が「じゃあ難しいですか?」と答えると進みません。

 

患者さんが「ダイエットしたい。」と言った時、

医師が「ダイエットしたいって考えているのですね」と答えると、

患者さんが「だけど、ダイエットは難しいです。」と言い出しても、

医師が「それでもダイエットしようと思ったのですね」とダイエットする方の意見だけくみ取っていくという手法です。

 

そもそもどの様な事象でも二面性があります。二面性があることは、真実でないかもしれないと考え抜いて哲学が生まれたような気がします。「真実とは何か?」という命題を多くの哲学者が解明しようとしましたが、デカルトの「我思う我あり。」ということでさえ、その後の哲学者に批判を受けました。

 

つまり、どの様な患者さんの気持ちや状況も2面性があると思います。末期のがん患者さんでも明るく前向きな方もいらっしゃいます。

 

行動変容外来では、患者さんの2面性を整理していくことが求められていると思います。

ダイエットのやる気があまりない人も「何故やる気が全くない。」のではないのでしょうか?

 

患者さんが気付いてない逆側からの視点を提示することが有用です。

2面性を時間的視点(そもそも過去の自分、未来の自分の視点)、空間的視点(他者との比較、他者からの視点)、具体と抽象(自分だけの真理、普遍的な真理)などから分析していきます。

 

※2021年2月27日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。