メタボ健診は曲がり角

京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻の福間先生が2008年にスタートした特定健診(メタボ健診)における特定保健指導の効果が限定的であるという研究結果が報告されました。男性を対象とする検討からは、腹囲やBMIの減少には短期的効果があるものの、心血管疾患危険因子への有意な抑制効果は認められなかったという内容です(JAMA Internal Medicine)。

メタボ健診では生活習慣病の早期からの介入を目的として腹囲、血圧、脂質、血糖でメタボリック症候群を診断していきます。

そのリスクレベルに応じて介入強度にめりはりのある保健指導が行われています。

 この研究の対象者の平均年齢は52.1±7.8歳、腹囲は86.3±9.0cm、BMI24.5±3.4。特定健診受診後の肥満関連指標(腹囲、体重、BMI)と心血管危険因子(血圧、HbA1c、LDL-コレステロール)の変化を解析しています。

 その結果、要指導判定を受けた人の1年後の肥満関連指標は、体重、BMI、腹囲が、いずれも有意な減少が認められていましたが、4年後には全ての肥満関連指標が、特定健診受診前と有意差がなくなっていたとのことです。

 一方の心血管疾患危険因子については、特定健診受診から1年後の時点で、血圧、HbA1c、LDL-コレステロールは、いずれも有意な変化は認められなかったとのことでした。

現在の医療では65歳まではダイエットで体重を落とすことを指導されるのに、70歳になると寝たきり予防のためしっかり食べることを求められるようになります。

一律の食事制限は寝たきりを助長する可能性もあり、メタボ健診は曲がり角に来ています。

 

 ※2020年12月21日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。