素直な感情を表すメソッド

生活習慣病患者さんを診る時に、以前はリスクを提示して患者さんの生活習慣に注文を付けるという手法が一般的でした。しかし、誰もが小言を言われるのは嫌なものなので、患者さんを「褒める」ことが推奨されるようになりました。「よく運動が出来ましたね。」とか「ダイエットが出来て素晴らしいですね。」という具合です。

しかし、「褒める」というのは上下関係のもとで成立するという考え方もあります。確かに子供のことは褒めますが、先輩や上司のことは褒めません。ですから、「褒める」のではなく、自分の感情をそのまま述べるということが、相手に気持ちが伝わると考えられるようになりました。

「こんな頑張るなんて、凄い。」「僕なら出来ないな。」と言うように素直に感じたことを呟きます。

当事者でない医療者が運動やダイエットの善悪を決めて褒めるよりも、医療者が感情を表した方が、患者さんも抵抗なく受けれることが多いようです。

 

これは、医療の現場以外でも有用なメソッドです。「有難うございました」と感謝の言葉を表すよりも「助かった~。」と感情を出す方がビビットな印象を与えます。

 

全米オープンで優勝した大坂なおみ選手のインタビューが好感を持たれるのは、素直な感情を伝えようとするからだと思いますが、皆さんはどう感じられますか?

 

 

※2020年12月5日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。