ブルーインパルスは見れませんでしたが医療者への感謝を示してもらい、医療者の立場で考えること

残念ながらブルーインパルスを見ることはできませんでしたが新型コロナ感染拡大で医療者に関する感謝を様々な形であらわすことが増えています。

私は医者になって35年経ちますが、その間、一般の方の医者に対する捉え方が随分変わってきたと思っていました。 

昔は、医師と患者間の信頼は強く病院の廊下を歩いていると知らない患者さんにもお辞儀をされました。
手を握るだけで感謝されることも多く、そのため重症患者さんを受け持った時は昼夜を問わず、その患者さんにつきっきりになっていました。

しかし、医療が進歩して分業化して、医療情報も溢れていて最適な治療でないことが批判されるようになり、医者自身も自信を無くすようになりました。
働き方改革で夜間は当直に受け持ち患者さんでも診てもらうようになり、以前と比べて一人で患者さんを請け負うこともなくなってきました。

時代の流れとともに若い医師たちがサラリーマン気質になるのも無理はありません。
テレビドラマでも医師が悪役であることが多くなり、昔のような良いイメージを持つ一般の方ばかりでもないのかなと思っていました。

その中で、これだけ多くの人が、医療者に感謝を示しているのは、私にとっては驚きです。
私のクリニックでは2300人分のお茶や、香港から1000人分のマスクを送って頂きました。
医療者として自分が頑張っていることに対し、多くの方から感謝してもらうことは有難いことです。

そして、医療者の立場ではなく、個人として考えるのは、新型コロナ感染拡大の中で、人は誰かに貢献したいというエネルギーが湧き出ている感じもします。
他人へ感謝することがこの閉塞感から抜け出るきっかけになると多くの方が潜在的に感じているからかもしれません。
結果として、感謝のマインドを持つことで、みなさん、自分自身の心身を保とうとしているのではないかなと考えています。

※2020年6月1日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。