貴方の首はキリンのように伸びますか?

新型コロナウィルス感染症との戦いは長期化の様相であり、山中伸弥教授は「これはウィルス感染症との戦いというより、共存である。」と発言されています。
まさに世の中はAfter coronaからWith coronaへシフトしています。

「ソーシャルディスタンスで人の集まるところに行かない。」というのは、Before corona社会の人気のある場所に行けなくなったことを意味しています。

人気のある観光地やレストランなどは、今は閑散としています。
それまで価値を認めていたものから距離を置くことは辛いことです。
価値観をひっくり返すことが求められている気もします。

医学の世界でBefore coronaとWith coronaの価値観を比べてみましょう。
Before coronaで私たちが考えていた医療の未来「人工知能に置き換わる領域は、医師として選べなくなるであろう。リモート診療も進んで行く。」ということでした。

そしてWith coronaで何が変わっているかといえば、やはり、診療はマニュアル化され、リモート診療も進んでいっています。
英国ではAIによる診療アプリが急速に発達しています。
つまり、With coronaでは、時計の進み方を劇的に早くしているとも言えます。

一方、With coronaでは、内視鏡などの侵襲度の低い手術は一つの壁に当たっています。
内視鏡施行中にエアロゾルが出て新型コロナウィルス感染を広める可能性が懸念されています。
現在は多くの施設で内視鏡の施行数が激減していますが、まさにWith coronaにより、進化の方向性が大きく変わる領域と思われます。

これは社会にも当てはまると思われます。
時計の進み方が劇的に早くなる領域と大きな進化のために一時的には進化を止めるように見える領域があります。
そして、それは個人にも当てはまります。

進化論での「キリンの首は何故長い」の命題で自然淘汰説のダーウィンは「高い位置の葉っぱを食べられる首の長いキリンが生き延びた。」と考えていました。
一方、ラマルクという生物学者は、「キリンの首はだんだん伸びた」と説いています。首の短いキリンが高所にある葉っぱを食べようとし、その“学び”が子孫に伝わったのではないかという説です。
最近のゲノム解析では、こちらの説も注目されています。

この時代の変化に向き合い、貴方の首はキリンのように伸びますか?

※2020年4月25日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。