新型コロナウィルス感染症との戦いが終わった後の自分が、今の自分にかける言葉とは

先日、30代の友人の医師と話していたら「新型コロナウィルス感染症は自分たちの世代が初めて死を身近に感じる疾患で今までで初めて味わう感覚です。」と言っていました。
私は61歳なので、自分が感染したら死んでしまうかもしれないという感覚があります。
また30代であれば死亡のリスクは殆どないから、随分私と違う感覚だろうと思っていたので少し驚きました。
実際に私と一緒に働いている20代や30代のスタッフも感染する恐怖を私たちの世代と同じように味わっているようです。

私の母は92歳の現役の眼科医ですが、この3月で閉院することを決めていました。
しかし、3月中旬から休診としてズルズルと閉院することは嫌らしく、「患者さんのため」と言って本日も電車に乗って診療に向かっています。
同居している私としては、そのことで、正直ガッカリしました。
高齢の方は、若い人が思っているほど早く寿命を終えると思っていません。

麻生副総理が「90歳になって老後が心配?いつまで生きるつもりだ」と発言し物議をかもしましたが、実際には、そんな意識だと思います。
しかし、もし癌の末期で余命1カ月と言われている人であれば、人生最後の1カ月は自由に生きたいだろうと想像します。

そんな時に3月4日に陽性と判定され、周囲に「ウイルスをばらまいてやる」と話して飲食店を利用していた愛知県蒲郡市の50代の男性のことを思い出しました。
実際に被害にあった人もいて、明らかに犯罪であると思います。
私もその時には強い憤りを感じていました。

しかし、自分が不自由な生活をしてみると随分印象が変わります。
犯罪ではあるけれど、自分だったらどう生きるのだろうとも思います。

今、不自由な生活を送っている貴方に、Post coronaを経験した貴方はどの様な言葉をかけるでしょうか?

※2020年4月23日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。