イマジンを歌おう

新型コロナウィルスの急速な感染拡大が起こり、巷では安倍首相が緊急事態宣言を発令することの是非が盛んに議論されています。
医療現場に身を置くものとしては、感染防御を優先してもらいたいので発令してもらいたいが、発令しない何らかの理由があるのでしょう。
どちらの選択が国民の命を救えるか、あるいは経済に負担をかけないかという国益がその選択の基盤となっていると思われます。
 
人が物事を選択する時の基準として3つあるとされています。
一つ目が「損か得か?」であり、今回の選択はこの基準によります。
二つ目が「善か悪か?」です。
そして三つ目が「好きか嫌いか?」という基準です。

逆境に置かれた状況では、「好きなもの」を見失わないことが、目的を達成できる共通の資質と言われている。
ヴィクトール・E・フランクルナチス強制収容所で希望を捨てず希望を持ち続けた人たちの資質を記述しています。
その後、その資質をアーロン・アントノフスキーは健康と結びつけ、スティーブンRコビーは成功と結びつけています。
 
現在、新型コロナウィルス感染症の拡大は、世の中に負の感情を生み出しています。
私の勤務している病院では、御見舞に来た外国人や、荷物をスーツケースに入れて入院してきた患者への不安は看護師にぶつけられています。「何故、外国人を入院させるのだ。」などというクレームは今までに経験したことのない種類のものです。

このような、本来の医療とかけ離れたクレーム処理は感染のリスクを前線で負う看護師のホスピタリティを損なうものです。
そして、新型コロナウィルス感染症と戦い、疲弊している医療者の大きな負担となっています。

イタリアでは毎日夕方になるとベランダに出て「Canto della Verbena(シエーナの歌)」を歌うといいます。
フランスでは夜の8時になると医療者に対して賞賛の拍手をするといいます。
日本でもイタリアや、フランスのように、同じ時間に同じ曲が流れて立ち止まってみたらどうでしょう。
みんなが好きな曲を歌いたい。
 
若い世代の人がその様なムーブメントを作って欲しいと思います。
そして、私としてはその曲はジョン・レノンのイマジンが良いなと思います。

※2020年4月5日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。