小さな政府と大きな政府

アメリカ合衆国は小さな政府になることを選択して、政府の役割を国と治安維持などに限定して、市場への介入をできるだけ小さくして、自由主義に任せる「個人の責任」を重視しています。
そこでは、自由放任のもとで神の見えざる手によって健全に発展するというアダム=スミスの考えが基盤にあります。

 
その結果として、アメリカは生産性を向上させ、巨大IT企業も生まれ、GAFAM(GoogleAmazonFacebookAppleMicrosoft)とは世界を席巻するIT企業5社で、その時価総額の 合計は、ドイツの国内総生産(GDP)を超えています。

しかし、その結果、国民皆保険制度ではないため、1回の手術で何十万円ものお金が請求されてしまうといった事もあります。

今回アメリカでは新型コロナウィルス感染症に対し、政府がコントロールできない医療体制の脆弱さが露呈しました。

Microsoft社のビルゲイツ以前から積極的にアフリカなどの援助を行っていたが、今回の新型コロナウィルス感染症のワクチン開発にも巨額の資金を投入していのも、企業が本来は政府が行っていた医療体制の再構築を担う必要があるからでしょう。

一方、日本では国民皆保険制度があるので、病院に行っても高額な医療費を請求されることはありません。
そのことが、現在の日本の感染症に強い医療体質を構築しています。

しかし、私は医療の現場にいて、新型コロナウィルス感染症の感染が拡大する中、マスクや防護服を十分供給できない日本の政府に驚きを感じました。

日本政府は466億円かけて国民1世帯に2枚のマスクを配布しましたが、これに対してソフトバンクの孫会長は「出来ました。世界最大マスクメーカーBYD社と提携し、SB用製造ライン設立。5月から納品、月産3億枚 (医療用高機能N95を1億枚、一般用サージカルを2億枚) 。政府マスクチームと連携を図り、医療現場をはじめ、一人でも多くの人々にSBは無利益でマスクを供給します」とツイートしています。

実際にこれによって医療用高機能N95が多くの医療機関で供給されることになって、日本の診療体制が維持されます。
それがなければ、私たちはN95無しに新型コロナウィルス感染症と戦わなければなりませんでした。

GAFAMの会社の株価は2月末から3月初頭に下落したが既に上昇基調となっています。
米国は、小さな政府を今後も選択していくのでしょうか?そして、日本も小さな政府にシフトしていくのでしょうか?

※2020年5月9日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。