新型コロナウイルス感染者に対する大学病院の取り組みと期待

アメリカ、ニューヨーク州のクオモ知事は新型コロナウイルスの抗体検査を約3000人に実施したところ、およそ14%に抗体が確認されたと発表しました。
ドイツとオランダとの国境に近いガンゲルトの町での抗体検査からも14%がすでに抗体を持っている即ち感染したことが明らかになっています。

日本でも今後抗体検査によるサーベーランスが行われると思われます。
東京都はPCR検査の陽性率は検査数、陽性者数をもとに1週間ごとの累計を活用し、その陽性率の推移を発表しています。
その結果、2月2日~3月21日の7週間は0~7.4%でしたが、4月12~18日に21.6%となり、週の途中ですが同19~21日には33.9%に達したと報告しています。
しかし、この結果は症状がある人たちの陽性率ですので、感染実態を知るためにはPCR検査を無作為に行うことが必要となります。
 
4月23日に慶應義塾大学病院は、無症状患者の5.97%(67人中4人)で陽性者が確認されたと公表しています。
慈恵医大病院でも、患者が入院する時に全例でPCR検査を行っていますが、慶應義塾大学病院のような高い陽性率は認めていません。

 

どちらのデータが信憑性が高いかは別として、このような無症状患者を含めたPCR検査を用いたサーベーランスは大学病院でのみ可能なことと思われます。
その理由は大学は基礎教室や臨床検査部で独自にPCR検査ができる体制があるからです。
このようにPCR検査に取り組むことで、新型コロナウイルス感染者への水際対策として大学病院としての機能維持を目指しています。
 
加えて、他の大学病院も院内感染を防止する目的で、PCR検査を行っているようですので、複数の大学病院のデータを統合すれば、相当数のサンプル数が集まると思われ、有効なデータになる可能性も感じています。
以上のような大学病院の取り組みの成果も期待したいと思います。
 
※2020年4月26日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。