新型コロナウィルス感染症によってもたらされる「生と死」の考え方

新型コロナウィルス感染症は高齢者で重症化しやすいということが明らかになっていますが、加えて、重症化しない若者が、無症状の感染者となって、世の中に感染を広げてしまうことが懸念されています。
このような背景の中、私は医師として日々の業務の中で、高齢者が新型コロナウィルス感染症にかかるリスクを減らすためにはどうしたら良いかということを考えています。 

一方、高齢者だけではなく20代から40代の働き盛りの方が新型コロナウィルス感染症に感染することもありますし、子供でも稀に重症化するケースが見られ、広い世代の人々が新型コロナウィルス感染症の脅威によって「生と死」というものを考える機会に直面していると言えます。

医療は平時には弱者の味方ですし、今も我が国の新型コロナウィルス感染症対策は高齢者をどう守るかということが考えられています。
しかし、地震などの震災時の救命医療では助かりそうな人を助け、助からない人は諦めるという弱者切り捨ての医療に変わっていく恐れもあります。
新型コロナウィルス感染の被害が大きいイタリアなどは人工呼吸器を高齢者には付けることが選択されることもあるといいます。

「提供する医療の選別」を現場の医師にさせることは大きな負担になりますが、そのような経験をした場合結果、「生と死」に関する新しい価値観が産まれるのでしょうか。

1年前の今頃は、令和のスタートに向けてお祝いムードでした。
Post coronaでは、きっと異なった風景が見えるはずでしょう。

 

※2020年4月2日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。