新型コロナウイルス感染症の報道を考える

4月1日現在起こっている急激な患者数の増加は、3月中旬に気が緩んだ人々が花見に行ったり、カラオケやキャバクラに行ったことが感染を広めたとされています。
その時に戻ってみると、当時、日本のテレビ局の多くが、「イタリアはこんなに大変なのに、日本では花見の客でにぎわっている」と、上野や目黒川を映し出す報道をしていました。これを観て皆さんはどのような印象を持ったでしょうか?
 
私は、「確かに怖い感染症だけれど、ライブハウスやカラオケに行く人がいるならば、花見ぐらいは大丈夫かな?」と思った人が多かったと思います。
このような報道の取り上げ方が東京都内の新型コロナウイルス感染のリスクを上げてしまった可能性があります。その時点で、既に百貨店は閉店をしていましたが、もし、報道が自粛を促す方向の報道を行っていれば、多くの人がもう少し自粛したのではないでしょうか。
トイレットペーパーを買いに走ったキッカケがデマであり、十分在庫があると報道してもスーパーやドラックストアにトイレットペーパーが全くない画像が流されるとそのことに全く興味がなかった人もスーパーやドラックストアに走ります。
 
マスコミの方にお願いしたいのは、これは災害であるということです。
東日本大震災以降「・・・の地震です。津波のリスクは・・・」という報道から「貴方の住む場所は生命が危ないです。」という伝え方にシフトし、視聴者の自然災害への見方は大きな変化をしたと考えています。
新型コロナウイルス感染に対しても、総理の要請に法的な効力がなくても、テレビやネットで「外に出たら感染が広がるので危ない。貴方の家族が失われる可能性がある。」と頻繁に情報発信してもらいたいと思っています。
そして、そのことに賛同するメディアや、企業はあらゆる手段を用いてそのことを社会に浸透するよう支援をしてもらえたらと思います。

色々な解釈はありますが、現状は「危ない」のです。
 
※2020年4月1日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。