思いがけない評価

私は63歳の医師です。

腎臓・高血圧内科に所属し、長年、大学で診療に携わってきました。

自慢話になってしまうので、ブログにするかどうか迷ったお話をご紹介します。

先日の外来で、30年以上透析をされている患者さんを拝見しました。透析は近くのクリニックでされていますので、1年か2年に1度大学でしかできない心臓の検査やCTの検査をするために私の外来にいらっしゃいます。

私は定年間近なので、その患者さんに「あと、1年半で定年になり、外来を診ることはできなくなります。」とお話しすると、その患者さんが「寂しくなりますね。」とおっしゃっいました。私は「〇〇さんを、もう37年ぐらい拝見させていただいていることになりますね。」と申し上げました。

するとその患者さんは「40年になります。」とおっしゃいました。私が、びっくりすると

「先生は、学生時代に私の同部屋の患者さんの担当でした。先生は医学部の学生時代から、実習時間が終わっても病室に来てくれて熱心に話をしてくれました。その時から私は、先生が医師になったら受け持ちになって欲しいと思っていました。ですから医師になられて私の担当になられたことをズーッと嬉しく思っていました。」とおっしゃいました。

37年前に少しだけ担当させていただいて、その後は1−2年おきにサラリと拝見していた患者さんから、思いがけない言葉を頂いて、ジーンとしてしまいました。

この話は、自慢話になるので医学生の娘たちにも話さなかったのですが、2−3日経って、妻に「自慢話だけど・・」と前置きを言って話してみると、妻が涙ぐんで聞いていました。

そして、その話を妻が1、5倍に盛って、義母に話したところ、義母が号泣したそうです。

私は、自己肯定感を高めたいと思っていますが、なかなか難しい点もあります。

しかし、思いがけない評価は、どこかに眠っているかもしれないとも思います。

それは、皆さんも同じでしょう。

 

そう思い恥ずかしながら、自慢話をさせて頂きました。

 

2022年10月28日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。