食生活やその他の習慣が生物学的年齢を若々しくする方向に導くことができる可能性があります。
最近のヨーロッパにおける研究では、野菜や果物、魚、脂肪の少ないタンパク質、ナッツ、マメ類、オリーブオイルなどを多く摂る地中海ダイエットを1年間実践した人は、生物学的年齢が約1.5歳若返得ることが報告されています。
モデルの方が盛んにナッツを推奨しているのはこのことが根拠でしょうか?
長寿研究では、タンパク質の摂りすぎはmTORと呼ばれる老化を速める酵素を活性させることがわかっています。肉を制限し、豆類や大豆など植物性タンパク質を多く摂ることが推奨されています。
世界保健機関(WHO)は、肥満やメタボ、2型糖尿病、がんなどを予防するための「5つの食事のヒント」を提案しています。5つの食事のヒントとは、以下の5つです。
- バランスのとれた食事
- 食塩を減らす
- 脂肪の摂り方に注意する
- 糖質を摂り過ぎない
- アルコールに注意
バランスのとれた食事
バランスのとれた食事とは、新鮮で栄養価の高い食物を偏りなくよく食べることです。
米や小麦、トウモロコシ、ジャガイモなどの主食と、大豆などの豆類、新鮮な野菜や果物、肉・魚・卵・牛乳などの動物性食品をバランス良くとることです。
精製されていない玄米や小麦、トウモロコシ、ヒエ・アワ・キビなどの雑穀も低カロリーで、タンパク質やミネラル、ビタミンが多く含まれているので推奨されます。
これらの食材は、食物繊維が豊富に含まれ、満腹感が持続しやすいというメリットがあるとされています。 間食としては、添加物の多い糖質や脂肪、塩分が多い食品を避け、生野菜、ナッツ類(塩を添加していないものが良い)、新鮮な果物を選ぶことが推奨されています。
食塩を減らす
食塩の摂り過ぎは高血圧の原因になり、心臓病や脳卒中の危険因子になります。実は塩分の取りすぎは癌の発生とも関連するといわれています。
日本を含めて世界中のほとんどの人が食塩を摂り過ぎています。
WHOが推奨する1日の摂取量である5g(小さじ1杯に相当)の2倍を平均して摂取しています。
味噌汁、お澄ましは2g、ラーメンは6gの食塩を含んでいます。汁物には注意が必要です。
また、醤油とソースを迷ったらソース、ソースとケチャップを迷ったらケチャップを味付けに使用してください。
脂肪の摂り方に注意する
脂肪の取り過ぎに気を配り、肉を調理するときは、油を揚げるのではなく、蒸したり煮たりして、なるべく脂肪を摂り過ぎないようにすると良いと思います。
マーガリンやドーナッツなどの洋菓子、揚げ物など、工業生産された食品に含まれるトランス脂肪酸は、肥満、心臓病、脳卒中のリスクを高めるので、なるべく摂らないようにしましょう。
油の多い肉類、ラード、バターなど、主に動物性食品に含まれる飽和脂肪酸も、摂り過ぎると動脈硬化を進行させます。油というと、炒めたり揚げたりする目に見えるものをイメージしがちですが、菓子やパン類、カレールーなどの加工食品にも含まれています。
一方、不飽和脂肪酸は、サケ・ニシン・イワシなどの魚の脂や、植物性食品に多く含まれ、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、悪玉のLDLコレステロールを減らすなど、さまざまな効果を期待できるとされています。
飽和脂肪酸を控えて、魚介類、ナッツ類、豆類、オリーブ油・キャノーラ油・大豆油などの植物油を摂取することで、脂肪酸のバランスを整えられるとされています。
糖質を摂り過ぎない
糖質は食塩と同じように、加工食品に多く含まれます。1缶の清涼飲料に小さじ10杯の砂糖に相当する糖質が含まれるといわれています。
アルコールに注意
アルコールの適量ですが、ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」と言われています。
また、一般的に女性は、男性に比べてアルコール分解速度が遅いため、男性の1/2~2/3程度の飲酒が良いと言われています。
今回、皆さんに行なって頂きたい行動変容は「5つの食事のヒント」を皆さんの食生活に生かしていただくことです。
2022年7月11日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。