相手の印象を指摘する。

私が行動変容外来を行なっていることが原因かもしれませんが、多くの方の相談を受ける機会があります。

相談の中に「Aを行うのとBを行うのとどちらが良いでしょうか?」のような選択を求めるものがあります。

選択は動物の中で人間だけが行う作業です。人に殴られた時に人間以外の動物は逃げることを選択しますが、人間だけは「自分のことを考えてくれたので殴ったのではないか?」と判断を選択します。

人が選択する場合に3つの基準で選択すると言われています。それは「善か悪か」「損か得か」「好きか、嫌いか」です。

しかし、この中で最も強く人の感情を動かすのは「好きか、嫌いか」だと思います。

我々は、人から相談を受ける時に、その人にとって「損か得か」で答えてしまうことが多いと思います。しかし、相談相手は「損か得かについてはよくよく考えて相談に来ることが多いと思います。

ですから、「損か得か」の答えを求めていない場合も多いのです。そんな時は、「Aの話をしている時の方が楽しそうだね。」とか「Aの方が良いって言ってもらいたいんじゃない。」とか、その瞬間の相談相手の印象を指摘した方が腹落ちする場合が多いと思います。本人が迷っているのは「好きか、嫌いか」だと思います。iPhoneの宣伝も機能ではなくiPhoneを楽しそうに使うことを示したものが多いと思います。

レストランよりもキャンプでのバーベーキューを求める人が多くなっています。悩みの多くは「好きか、嫌いか」がわからなくなっている場合が多いと思います。

 

2022年5月8日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。