言葉より姿勢

私は、医療コミュニケーションやWellbeingについての勉強会を1−2ヶ月に1度の割合で開催しています。

社会人と医学生が、持ち寄ったテーマについて意見を交わすリモート談話会です。

先日の会では、虐待やネグレクトを受けた子どもたちの相談を受けるボランティアをしている医学生が担当でした。彼は、「虐待を受けて死にたいという子ども」の相談を受けていました。時には数時間もかけて相談を受けていたそうです。1週間のコンサルとの後に、その子供は「死ぬことをやめた」とのことです。

彼は、「皆さんの人生を変えるような言葉を教えてください。」とリモート談話会の参加者に問いました。

人が悩みを持った時には、その視点を変えさせるような仮定法でアプローチしたり、や未来を想起するような提案を行なったりするスキルがあります。

しかし、今回の場合、彼が相談を受けた子供と一緒に暗闇に落ちていったという姿勢によるものかと思います。医学生の彼は、虐待された経験はありません。

言葉の力というよりも相手と同一化することが大切です。そのためには、時間が必要で技術による効率的な対応では、子供の意識を変えることはできなかったと思います。

 

2023年6月28日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。