医学的情報の発信

新型コロナウィルス感染症の拡大が止まりません。感染拡大抑制に最も効果的なのは、ワクチンであると言われています。しかし、若者は新型コロナウィルス感染症に罹患しても重症化しないことが多く、ワクチン接種を希望しない方が多いようです。政府のワクチンの確保も諸外国に比べ遅れを取り、容易にワクチン接種ができないこともワクチン接種が進まない原因でしょう。

 

そんな、ワクチンに対する疑心暗鬼が広ある中、藤田医科大学は①新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社)を接種した教職員の血液中抗体価が、2回目接種後3ヶ月後の抗体価が、2回目接種後に比べて約1/4に減少すること、②日本人においても時間の経過とともにワクチンの効果が低下することを示唆する結果と考えられることをホームページで報告しました(https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000b3zd.html)。

 

しかし、抗体価が1/4に減少することが、どの程度ワクチンの効果が低下するかを明らかにしないままの発表は、社会に与える影響を考えていない軽率なものと思われます。

このような段階で発表することが、若者のワクチン接種を希望しない行動に影響を与えることは容易に想像がつきます。

この研究は、多くの医療機関で容易にできるものですが、社会的影響を考慮して発表を控えている大学もあるのではないでしょうか?

 

約1/4に低下しても1回目の摂取後や実際にコロナに罹患した人より高いレベルの交代価を持つことが多く、また交代価だけで感染防御を論じることは問題です。

ファイザー製ワクチンを接種した人のリンパ節では、接種後少なくとも12週間、高レベルのメモリーB細胞が検出されていることがわかっています。

抗体を産生する形質芽細胞は、新型コロナワクチンを接種した人の骨髄では、形質芽細胞が最長11カ月間検出されているとの報告もあり、一定の割合でブレークスルー感染はあるものの重症化を防ぐことは期待できます。

 

医療者がホームページやマスコミに発表する内容は医学論文と異なり、査読を受けておらず、より責任を求められると思います。

 

8月23日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。