詫びないことで失うこと。

新型コロナウィルス感染拡大が止まりません。

私が所長を務める慈恵医大晴海トリトンリニックでも発熱で来られた患者さんのPCR陽性率が上がってきています。

 

菅首相小池都知事もオリンピック前に「患者数は増えているが、重症患者さんの数は増えていない」と発表していましたが、重症患者数もピークに達し、大学病院では通常の手術も制限されるようになってきました。これ以上、既存のシステムで新型コロナウィルス感染の患者さんを診ることができないのです。

ゾーニングしていると言ってもICUは手術後の重症患者さんを診る場所で、最も感染を避けなくてはいけないのに、その隣で重症新型コロナウィルス感染患者さんのECMOが回っています。

コロナ専用の病院でなければ、これ以上重症新型コロナウィルス感染患者さんを受け入れることは不可能です。

 

また、ワクチンについて、菅首相小池都知事も「ワクチンがゲームチェンジャーである」と言い続け、「9月末までに希望する全ての国民にワクチン接種を終える」というシナリオを書いていました。しかし、私のクリニックでは、9月末から保健所からワクチンの供給がストップするため個別接種ができません。ワクチンが足りません。

 

重症患者の急増、ワクチン確保の遅れは。政府も東京都も随分前から分かっていたことであると思われます。

 

新型コロナウィルス感染に関しての政府や都の発表は、オリンピックや選挙に対する目論見に影響を受けるかもしれませんが、国民理解と政府からの説明の乖離に目を向けないことは、大きな問題です。国民の不安を大きくし、国民としての自信を失くさせるのではないでしょうか?

政府と都は、隠さずに現状を明らかにして、今までの対策の失敗を国民に詫びるべきだと思います。

 

日本が経済大国でなくなった今、国民の自己肯定感が未来への財産です。

8月11日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。