健診シーズンに考えること

皆さんは、秋の健康診断を受けてらっしゃいますか?私たちの大学の職員も健康診断を受けています。

私は、健康診断や外来で測定している血圧や血糖は、静的マーカーであって、人間が動く物であるのであれば、機能を測定しないと十分な評価が出来ないということ考えています。車であれば、動かしてみて機能が解るのですが、医療界の評価はそうではないのです。血圧が180mmHgの人が120mmHgになった時に、皆さんは正常値になったと喜ばれるかもしれません。しかし、自動車だとすれば時速60kgで走る車が、同じようにアクセルを踏んだだけで80km出た場合に喜ぶべきことかは解りませんね。人の体に平均値を当てはめるだけの医療は適切とは言えません。個別な動的、連続的評価が必要です。その変化は日常であなたの体に起こっていることです。しかし、このような考え方は、今までの医療界には殆どありませんでした。

 

血圧は,1733年に英国の牧師ヘイルズ(Stephen Hales)によって世界で初めて計測されました。そもそも血圧が測定できるので、そのことを指標とした医学が作り上げられたのです。

しかし、血圧よりも体の状態を反映する指標が見出されれば、新しい指標により診療がなされるべきでしょう。IoTの進歩により、近い将来新しい指標が見出されるでしょう。新しいアップルウォッチには動脈の酸素飽和度をリアルタイムで記録する機能があり、日常生活の中でどのようなことをすれば、酸素飽和度が低下するかが明らかになります。医療にも新しい時代が来ています。

 

※2020年11月20日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。