健康マネジメントでネックとなるのは、“習慣化”です。行動が変われば習慣が変わる。 習慣が変われば人格が変わる。 人格が変われば運命が変わる。
と言われていますが、習慣を変えることは並大抵のことではありません。「人間の脳は習慣を変えないように」設定されているのです。「わかっちゃいるけどやめられないという悪しき習慣」がたくさんあるのです。
そのために大事なのは、いきなり何かの「健康法」に飛びつくのではなく、まずは自分の体や健康状態に目を向ける意義を感じることです。これは人生100年時代に益々重要になっています。自分の健康に対するあり方を決めたら、習慣化するメソッドをご自分自身で考えていくことが大切です。
私が、行動変容外来で提案する【健康的な行動の習慣化 20のメソッド】をご紹介します。
- 1つから始める。→欲張らずに1つから始めてハードルを下げましょう。
- 初期目標は低くし、段階的に上げていく。→成功体験を積みましょう。
- 実際にやってみる。→まずやってみて成功体験を経験しましょう。
- 既存の習慣と結びつける。→日々のスケジュールに組み込みましょう。
- 時間を決める。→朝型か夜型かを知ることも大切です。
- 協力者をピックアップする。→諦めそうになった時も応援してくれます。
- やる気がなくてもその場に行ってみる。→とにかくハードルを低く。
- 逃げられない状況を作る。→環境作りも大切です。
- 簡単な記録を取る。→記録によって達成感ができます。
- 習慣が途切れそうなときの対処法を決める。→前もって次善の準備をしておきましょう。
- 1週間以上続かないときは別のやり方に移る。→自分に向かないことは続きません。
- できなかったことを意志のせいにしない。→自分を責めると負の負債を持つことになります。
- 方法に名前をつける。→俯瞰(ふかん)して習慣化しましょう。
- 妨げになる行為に名前をつける。→妨げになる行為に名前をつけ、やりすごしましょう。
- 自分にごほうびをあげる。→時には自分に甘くしてください。
- 進歩している自分を楽しむ。→自己肯定感を持ちましょう。
- ほめる。→自己肯定感を育てましょう。
- 3分やりすごす。→3分たてば、誘惑から逃れられます。
- 瞑想する。→深呼吸しましょう。
- 歩くときは視線を上げる→ポジティブな意識が習慣を変えるのに必要です。
しかし、この20のメソッドを私から患者さんにご紹介すると、患者さんの行動変容が起こると思いますか?
ダイエット本が山ほどあるように生活習慣を変える「やり方」は無数にあります。しかし、ダイエットが続かないように「やり方」だけ求めても習慣を変えることはできません。行動変容外来は、看護師が患者さんと個別のやり方を相談して対策を立てていくのですが、20のメソッドというよりは「あり方」に目を向けています。
習慣を変えるためには、たった2つのことを意識してください。
- 自己肯定感を高める。
- それを日常化できる条件を探す。
この2点です。ご紹介した20のメソッドの1から8はハードルを下げたり、環境を整えることにより、成功体験を重ねることを目指したものです。
そして9から20は、成功体験を実感しやすいようにする方法です。
大切なのは、ご自分で考えてください。
ご自分の中で「健康に目を向けるよいう意識」を育てる必要があります。それは、子育てと同じ感覚です。
お子さんが、運動会やテストでうまくいかなかった時に、「大丈夫、今度は作戦変えてみよう」とアドバイスしたことはありませんか?
皆さんの中には20個どころではなくたくさんの素晴らしいやり方が眠っているはずです。
2023年9月14日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。