帰宅願望

今年の5月に妻の母が脳梗塞になりました。慈恵医大に入院し、リハビリ病院に移りましたが、自宅に帰りたい希望が強く夜間せん妄で1日に何十回も電話してきます。妻は、「可哀想で耐えきれない」と感じていました。昼は、比較的元に戻るので、義弟はリハビリ病院の入院継続を望みました。

そこで、短期的にですが、本日、義母を私の家に引き取り、1日2回の訪問リハビリをセットアップしました。

私は、64歳の大学の医師ですが、96歳の母と自宅で同居しています。大きな負担がかかる介護ではないですが、1人で暮らすことは難しいので、私と妻が簡単な朝食と夕食を出しています。

つまり、私の家は、本日から老人ホームになりました。2人の母はともに少し認知機能は落ちているものの仲が良く、楽しそうに暮らしています。今のところ、結果オーライです。

 

私の母もリハビリ病院で夜間せん妄があり、自主退院をしてしまいました。昼はちゃんと病院生活を送れる2人が何故ここまで家に帰りたくなってしまうかは、脳の仕組みによるものと思います。

VR空間でアバターなどを用いて対応できるかもしれません。

 

2023年6月14日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

プレ老人ホーム

人生100年時代にどのように備えたら良いでしょうか?80歳でホテルのような高級老人ホームに入ることが、目標でしょうか?

何歳になっても新しい刺激を受けたいと思ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか?それを実現する繋がりはどのようなものでしょうか?

私は、今64歳ですが、自分が80歳になった時に入りたい老人ホームは見当たりません。キーワードは世代を超えた繋がりです。同世代の人とつながることも良いですが、自分と同じように歳をとってしまい、新しい刺激から遠のいてしまうでしょう。60歳から80歳の間で、プレ老人ホームのようなグループを作り、そこに若い人が参入し、VARや自動運転などの経験を供給し、80歳になった時にも新しい知識を得るリテラシーを教育していくプランはどうでしょうか?

私は、これはイケていると思っているので、少し実現の可能性を模索したいと思っています。

 

2023年6月4日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

新しい産業

先日、YouTube堀江貴文さんが、「何故、戦後の高度成長期に日本が経済大国になったか?」ということに2つの理由を挙げていました。

1つ目の理由は「戦後は、それまでの指導者が一掃され新しい世代の新しい指導者が出現した」こととのことです。なるほど、その通りと思います。

もう1つの理由は「戦後、日本が航空産業の参入が制限されたため、航空産業に流入していた優秀な人材が、自動車や電器の開発に注力した。」とのことでした。それでトヨタソニーが大企業として育ったということを初めて知りました。おそらくドイツのメルセデス、BNW、フオルクスワーゲンも同じ理由で力を得ていったのでしょう。戦勝国が航空産業に力を入れている間に、敗戦国が新しい産業を作り上げていったのでしょう。

しかし、現代に眼を向けると、日本は通信衛星で遅れをとっているのではないでしょうか?

先日、人工衛星の打ち上げ失敗がありましたが、新しい産業に乗り遅れているとしたら心配です。日本の基幹産業である自動車ですら電気自動車への切り替えが遅れています。GAFAMを含めネット産業が世界を席巻する現代、心配事が1つ増えました。

 

2023年5月24日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

 

ダイハード

12日金曜日に義母が脳梗塞で救急入院しました。

軽い麻痺ですが、入院中、認知も進み、また新たな介護が始まります。

退院後、市谷で少しの間、引き取ろうとも思い、自宅で介護を続けている実母に伝えたところ、

「私は良いけど、お母様が気を使うから、自分は出ていっても良いわよ。」と驚愕の返事が返ってきました。

私が「どこに行くつもり?」と聞くと「姉のところでも行くわ」と答えが返ってきました。

カオスです。

実は、昨年、義父が軽い脳梗塞になり、やはり慈恵に救急入院したこともありました。

次から次へと押し寄せてきます。

映画のダイハードのようです。

当方もスキルがどんどん上がってきて「なんでも来い」という気持ちにもなりますが、とりあえず、本日、ソーシャルワーカーと話をして、世田谷のリハビリ病院に転院してもらうことにしました。

 

 

2023年5月17日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

脳梗塞、心筋梗塞は地震と同じで、即座に対応することが勝負

私の義母が、5/12に脳梗塞で、慈恵医大に緊急入院した時のお話をします。

義母は義父と2人暮らしで、隣に義弟夫妻が、住んでいます。

5/12の午前中のゴミ出しは、普段通り、できたそうですが、昼前に体が左に傾くようになり、お嫁さんが心配して義弟に申し送ったところ、夕食時には転倒したとのことでした。

私が22時ごろ、「人志松本の酒のつまみになる話」を観ようと準備していると隣の部屋から妻の声がしてきました。

「吐き気はどうか?めまいはないか?力が入るのか?視野欠損などないか?喋りづらくないか?」などと細かく聞いていました。

元々、義母はメニエル病でふらつくことはあったので、鑑別診断を聞いていたのです。しかし、ポイントは、「鑑別診断を絞り込むことではなく、脳梗塞の可能性があるか?」の1点です。その時、義母はしゃべることもできましたし、歩くことも出来るとのことでした。

しかし、その最中にソファーからずれ落ちでしまったようです。

それは、めまいから来るのではなく、明らかに力が入らない(脱力)で、脳梗塞の症状の1つです。

慈恵の救急に連絡し、深夜に診てもらうことにしました。

それでも、義母は受診を嫌がっていたと聞いています。同じことが、2020年の義父の時もありました。義父は眼科医ですが、脳梗塞発症2日目で、初めて私の妻に連絡をくれました。

脳梗塞の抗血栓薬の投与は発症から早ければ早いほど有効です。

義母の場合、家族に脳梗塞患者がいて、医師の家族もいるのに、手遅れになるところでした。

義母は単なるラクナ梗塞でなく、リスクが高いBranch atheromatous disease(BAD)と診断されました。抗血栓薬の投与がどうにか間に合いましたが、「脳梗塞心筋梗塞地震と同じで、即座に対応することが勝負」ということを皆さんにお知らせしたくて、ブログを書きました。

 

2023年5月15日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

 

0.5人分の医師の働き方

私が勤務している慈恵医大では、女性医師の割合が増加しています。

首都圏の私立の医学部は、小中高一貫の私立の女子校あるいは男子校の入学者が多くを締めます。

これらの学生が医師になると、自分が子供の頃に親にしてもらっていたことを踏襲したい気持ちが芽生えること、あるいは同級生のママさん医師がQOL重視で医師を続けるスタンスに大きく影響を受けることから独身時代とは労働に関する取り組み方が変わってきます。。

そして、ママさん医師は幼稚園や小学校の送り迎えのために朝の定時出勤ができなくなってしまいます。

子供の送り迎えは父親がやっても良いと思いますが、現状は母親が担っているようです。

子育てのために大学を離れる女性医師が沢山いるのが現状です。

臨床医はリモート出勤をできないので、そのために離職してしまうママさん医師が多いのです。

私が所長を務める慈恵医大晴海トリトンクリニックでは、幼稚園の送り迎えができる時短勤務を4月から導入してみます。1と0ではなく,0.5を選択できる働き方を提案したいと思っています。ゆくゆくは、男性医師でもそれが選択できれば良いと思っています。

5月8日に大学の医師の働き方改革会議で、そのことをプレゼンする予定です。

 

2023年5月1日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

開業医と在宅医

私は64歳大学病院で医師をしていますが、退職も近いので開業をすることも考えています。私が以前勤めていた虎の門病院の先輩の先生は69歳で開業し、現在79歳で、現役で働いていらっしゃいます。先日、私は、そのクリニックで開業に関する様々なことをお聞きしました。

その中で、気になった一言がありました。「在宅医とケアマネジャーには注意をした方が良い。」ということでした。長い間、開業医が一生懸命見ていた患者さんが、高齢で通院が難しくなると、一人での通院が難しくなり、通院につきそうご家族の負担になります。そうすると区の高齢者相談センターからケアマネジャーが紹介されます。そして長年通ったクリニックではなく、ケアマネジャーと関わりが深い在宅医が紹介されることになります。その先生は「患者さん自身が元々のクリニックに通いたくても。ケアマネジャーから家族が転院を促されてしまうと、開業医が愛情を持って拝見していた患者さんも知らないうちに来なくなってしまう。」とボヤいていらっしゃいました。

「在宅医の医療の良し悪しではなく、ケアマネジャーの斡旋であり、最後は自宅にとか寄り添うという言葉巧みに入り込んでくることがある。」ともおっしゃいました。

私は、父を自宅で看取り、在宅医療の暗の部分を知りませんでした。もちろん、良いケアマネジャーや在宅医の先生もたくさんいらっしゃると思いますが、今回伺ったことは驚きでした。

 

2023年4月18日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。