東京だけが新型コロナウイルス感染の抑制がうまくいってないのは何故か?

54日に全国を対象に緊急事態宣言の延長が発表されました。
感染状況を地域別に評価して順次規制の要請をしていくとの説明でしたが、都道府県によって感染の状況が異なることが議論されています。

それに先立ち51日の専門家会議では東京の感染者数減少が全国より速いとのことでしたが、結局はその後感染者数160人を超え、累計4712人となりました。
新規感染者数は東京都58名、全国で121名と、東京都が半数を占める状況です(55日時点)。

 

私は、東京は病院数や検査会社数も多く、地方よりも感染症に強いと思っていましたが、結果を見るとそうではないと残念に感じています。

なぜこのような状況に陥っているのか、まず考えたいのが東京のPCR検査数の少なさです。
PCR検査数が感染コントロールに大きく影響を与えるということは必ずしも言えないと思いますが、人口比で東京の検査数は、他の道府県に比べ決して多くありません。
なんと、大阪よりも少ない検査数です。

感染者数での比率で考えると、大阪の3分の1、愛知の6分の1、鹿児島の45分の1しか、東京でのPCR検査は実施されていないことになります。
(5/5時点までの累計)
・東京   感染者数4568  PCR検査数 11691
・大阪   感染者数1669  PCR検査数12492
・愛知   感染者数492       PCR検査数7463
・鹿児島     感染者数10    PCR検査数1287


続いてソーシャルディスタンスの問題です。
専門家委員会は人との接触を80%減らすことを目標にしています。
東京は80%近くの人との接触を減らしているのに、地方では40%程度の減少に留まるところがあるとの指摘もありました。

しかし、感染者数の推移を見ると、東京では人口密度が高いからか、80%の減少でも安全なソーシャルディスタンスを保てず、地方では40%程度の減少でも安全なソーシャルディスタンスを保てることも想像できます。

このように感染者数が多いにもかかわらず、PCR検査数が少ないという事情、人口密度が高いがゆえにソーシャルディスタンスが地方よりも相対的に低いという状況はあると思いますが、東京の感染者数が他の道府県と比べて抑制できてない状況は東京都内で医療に従事する立場の人間としては看過できない事態だと認識しています。
このままだと東京だけ緊急事態宣言の緩和が遅くなることさえありうるのではないかと危惧しています。


もう少し、東京都にもこれらの感染症に対する脆弱さを様々な観点で考察してもらい、少しでも感染者数の拡大を早期に抑制する手立てを講じてもらいたいと願っています。

※2020年5月6日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。