新型コロナウイルス感染拡大で医療の質が変わる

新型コロナウィルス感染拡大によってリモート診察などはマスコミでも取り上げられていますが、それ以外にも医療の質的な変化は既に起こっていると言えます。
 
風邪でクリニックを訪れると、口を開けさせられ、舌圧子という平たい金属で舌を抑えられ、喉の奥を診てもらったことがあると思いますがそのようなことは、今は行われていません。
医師が感染するリスクが高いからです。
また、検査のための胃カメラも医療者の感染リスクが高いとされています。
トイレのエアータオルが感染を広めるということで止められるケースが多いですが、医療行為では空気中にウィルスをバラまいてしまうリスクがある可能性がある処置があり、眼圧測定や腹腔鏡の手術なども制限されて行われています。

現在、健診や人間ドックを行わない施設も増えていますが健康診断でお馴染みの胸部診察も感染リスクとなっています。
このように適切な医療が行えないという経験は初めてのことだと思われます。
もし、内視鏡手術や腹腔鏡手術が制限されると患者さんに侵襲の少ない手術が提供できないだけでなく、しばらく前の手術のやり方は、今現場で働いている先生に踏襲されていないこともあり得ることだと思います。

全国のクリニックでは、感染を恐れて患者さんが来なくなっているために著しい収入減が起こっています。
日本の医療はベッド数が多く、病院の統廃合が予定されていましたが、今や、ベッド数が多いことが医療崩壊に対する対応能力が他の国よりも高いと考えられています。

様々な前提や、やり方が変わる中、今後日本の医療システムはどうなっていくのでしょうか。
Post coronaでは、他の産業同様、医療の質が大きく変わることが予想されます。

※2020年4月12日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。