2021年ロンドンオリンピック

巷では、池江璃花子選手のオリンピック出場を決めた活躍で沸き立っています。

新型コロナウィルス感染拡大でオリンピック開催を望む国民は20%と言われていましたが、池江選手の活躍や聖火リレーの開始により開催を望む国民は30%まで増加しました。

実は、本日、私の外来に来た患者さんが、「先生、私聖火リレーを走る事になりました!先生のお陰です。」と言ってきました。この患者さんは腎移植患者さんで、20年前に腎移植をして現在は47才になっています。「移植によって元気になった姿をみんなに見せたい。」と笑顔で続けました。

私は、何もしていませんが、経過がよく、今では東京から長野に移り住み農業を始めています。そんな彼女は私の誇りでもあるので、「もし、オリンピックが開けるならばそのほうが良いかも知れない」という気持ちが頭をもたげました。

しかし、午後にわたし自身が2回目のコロナワクチンを接種するのですが、そのことを考えると、とてもオリンピックどころではありせん。我が国のワクチン接種の遅れは他国とは比べ物になりません。国会で厚労大臣が「我が国は感染者が少ないのでワクチンの治験が遅れることがワクチン接種遅延の原因である。」と答弁していました。しかし、接種率は感染者の少ない韓国にも接種率は遠く及びません。

一人のスポーツ選手によって沸きたった熱情を政治利用することなく、オリンピック開催で使う資金を感染防御やワクチンあるいは白血病治療ために用いることも政治がやるべき事柄かも知れません。

ワクチンで急速に感染者数が低下しているロンドンでオリンピックを開催することはできないかとも考えてしまいます。

昨年の今頃は、ボリス・ジョンソン英首相が「夏に開催するならロンドンでも良い」と言って小池都知事の怒りを買っていたように思います。

 

※2021年4月7日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。