新型コロナウィルス感染症の情報を整理しました。

新型コロナウィルス感染症の感染拡大が止まりません。政府は軸足を経済に移し、Go toキャンペーンを実施しているので、人によって新型コロナウィルス感染症に対する捉え方が大きく異なります。情報も溢れていてどの情報を信じたら良いか解りません。古い情報も新しく置き換わることがありません。

 

新型コロナウィルス感染症は、当初死亡率が3%で80%は軽症と報告されていました。これは武漢からの報告でニューイングランド・ジャーナル誌という一流雑誌に掲載されたことから今でも信じられています。しかし、医療の現場にいる者としては死亡率が3%であれば、ICU治療を受ける人はその2-3倍であり、またその2-3倍が人工呼吸器を装着することを考えると軽症者が80%という情報は随分ギャップがあります。無症候性患者の存在や国ごとのPCR検査状況にも死亡率は影響を受けますが、少なくとも症状が出てPCR陽性入院患者では重症化率ははるかに高いことが予想されました。実際に4月の時点でのヨーロッパ各国の死亡率は10%を超えていました。そして肺炎患者の70%は後遺症に苦しむことも報告されています。我が国の死亡率も5%に迫っています。

 

7月の感染拡大は新宿区のホストクラブが震源地と言われています。我が国は感染者数が極めて少ないと言われていますが、新宿区の累計感染者数は約1500人であり、人口比で換算すると10万人当たり455人にあたります。驚くべきことに、これはフランスの275人、イタリアの405人を上回ります。迅速で強い介入をしなければ手遅れになります。

 

一方、私は7月の感染拡大は軽症者の若年層から高齢者に波及するという説明に対してそのスピードが4月より遅い印象を持っています。ひょっとすると新型コロナウィルスが弱毒化していないかと考えています。北米において4月の1日当たりの新規感染者数は約5万人で新規死亡者数は約4千人、7月の1日当たりの新規感染者数は約6万人で新規死亡者数は約千人です。この比率が8%から1.7%に低下しています。この傾向はアジアやヨーロッパでもみられます。

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/

南米ではこの傾向がみられていないので気温の上昇に伴う変化かも知れませんが、もし弱毒化が進むとすればワクチン開発を待たず感染が収束することも期待できます。実際に新型インフルエンザは1年もたたずに弱毒化しました。

 

そんな背景を考えると、今が踏ん張りどころです。

 

※2020年7月24日時点の医師横山啓太郎個人の意見です