動的・連続的生体データが世界・医療を変える

私は、2016年大学病院では初めて行動変容外来を開設しました。

その外来で、動的・連続的生体データが極めて重要であることを患者さんにも説明してきました。
現在の医療は早朝・空腹・安静時の血圧や血糖を測定してそれに合わせて薬物療法がなされています。

しかし、人も動的な物体なので、その機能を評価するのには、動いた時の生体データの変化を診る方が適切だと思うからです。
実際に患者さんは通勤時の階段を上った時の息切れで「歳をとった。」感じられますが、正にその様な評価がなされるべきです。
空腹時より食後の血糖上昇に目を向けるべきと考え、フリースタイルリブレという持続血糖モニターを用いて診療にあたっています。
この考え方は医療者の中でも賛同を得ていますが、多数例の患者さんでのエビデンスを蓄積することが出来ません。

そもそも早朝・空腹・安静時の血圧や血糖は測定可能であるから医療の物差しになって、それを用いた研究によってエビデンスが長年されています。
新しいデバイスで動的・連続的生体データが測定できるようになっても多くの人がそのデバイスを付けなくては医療の診かたは大きく変わりません。

しかし、そこに新型コロナウィルス感染症が起こりました。
濃厚接触者を割り出すスマホには、血圧や呼吸回数、酸素飽和度を動的・連続的生体データを記録により、新型コロナウィルス感染症の重症化を感知する機能を有するものがあります。

多くの国で、大多数の国民の動的・連続的生体データ中央管理が可能になります。
このシステムにより動的・連続的生体データのビックデータが取得可能になります。
バイス装着中に数多くの方が、心筋梗塞を発症します。
すると、どの様な行動をした時に心筋梗塞を発症するか?どの様な生体データを有する人が、心筋梗塞のリスクが高いかが明らかになるのです。

医療の見方が高い精度を持って、全く変わっていく可能性があります。
この動的・連続的生体データは個人情報の中では遺伝子情報よりも価値が高いと言っても過言ではありません。

その様な動的・連続的生体データが「新型コロナウィルス感染症重症化と拡散防止」という大義により、国家的に収集されていきます。
早急な法整備が必要ですが、中国がこの領域でも先行することが予想されます。

※2020年6月14日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。