医療者のマスク

新型コロナウィルス感染症の第6波による新規感染者数が徐々にではありますが、減少しています。

変異株の出現など不確定要素はあるものの、新型コロナウィルスもいつかは一般的な風邪と同じになっていくことを多くの研究者が予想しています。

しかし、感染症に対する恐怖心は、個人個人で大きく異なるので、新型コロナウィルスが弱毒化してもマスクをつけ続ける人は一定数いらっしゃると思います。そして、その方々は、相手にもマスクをつけることを希望するはずです。

もしそうであれば、今後医療者は診察時にはマスクを外すことは出来ないことが予想されます。

新型コロナウィルス感染症は症状が出る前に人にうつすので、無症状でもマスクをつけていなければなりません。患者さんの血圧を測定することや、眼科医が眼を診察することもマスクがなくては出来ません。

医師がマスクをつけていると表情が解らなくて患者さんも嫌だと思いますが、医師もマスクをつけて患者さんに説明する煩わしさがあります。

これは、デパートやレストランの店員の方も同じかと思います。

日常が戻るものも戻らないものもあることを感じました。

 

2022年3月14日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

忙しい時こそ、心に余裕を

どの仕事も同時並行で進んでいくことが多いかと思いますが、医師も何人かの患者さんの問題に同時に対応しなくてはなりません。特に新型コロナウィルス感染症蔓延期では、スタッフやスタッフの家族の感染と勤務状況を調整する必要があります。

先日、外来の最後の予約の患者さんがいらっしゃらなかったので、キャンセルと判断し、病棟のコロナの患者さんに面談に行っていました。

そして外来に帰ってきたところ、最後の予約の患者さんが「40分待たされた」とご立腹でした。

普段は、怒るような患者さんではない方です。私が席を外して5分後にいらしたようでした。

「私がもう少し、待っていたら良かったですね。病棟の面談は5分で終わったので、スタッフも私を呼んでくれたら良かったのに。」と申し上げると、「先生はスタッフのせいにするのですか?」と返って火に油を注いだ状況になってしまいました。

そのような意図がないことをご説明しても患者さんの気持ちが収まらないようでした。

もう20年以上拝見していた患者さんの態度を目の当たりにすると、悲しくなりました。

私のマルチタスクな故の甘えがあった気もします。

時間に追われていることは自分の言い訳になっても、他の人には理解されないことを再認識しました。

 

2022年3月9日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

日本の新型コロナウイルスの感染状況

新型コロナウイルスパンデミックが起こっている中で、我が国の感染者数と感染による死亡者数は極めて低いと報道されていました。

 

しかし、年始から第6波に見舞われ、それまでは1日の新規感染者数が1000人でも多いと感じていたのに今では1万人を超える日が続き、その数に驚くことはなくなりました。

 

本当に我が国の感染者数は少ないのでしょうか?

 

ロイターのサイトでの紹介によると世界で最も1日新規感染者数の多い国はどこだと思いますか?

1位韓国、2位ドイツ、3位ベトナム、4位ロシア、5位日本です。

https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/

米国やインドよりも日本の方が多いのです。

 

皆さんの周りに感染者や濃厚接触者の方も多くなり、今の状況に国民が慣れてきている印象を持ちます。

 

残念ながら有効な経口治療薬であるパキロビッドの使用はできないためにインフルエンザウイルス並みになるには時間がかかりますが、皆さんの関心はウクライナ紛争に移っているように見えます。

 

今後、我が国の新規感染者数はどうなっていくのでしょうか?

ステルスオミクロン株の影響で再度、感染者数が増えるのでしょうか?あるいはワクチンが浸透し、感染者が減っていくのでしょうか?

 

私は、ステルスオミクロン株の影響も3回目のワクチンの影響もそれほど大きくないまま、新規感染者数は数千人に減ってその値がある程度持続するのではないかと考えています。

 

世界に目を向けるとステルスオミクロン株に置き換わった国も3回目のワクチンが進んでない国も新規感染者数は減っています。

マスクをつける国も戦争をしている国も同様に低下しています。

 

米国は日本への旅行者に日本が感染地区であることの注意喚起を出しています。

その日本が、水際対策をしています。

ウクライナ紛争のことをロシアに人は知らないかも知れませんが、日本の新型コロナウイルスの感染状況のことを日本人は知りません。

2022年3月4日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

新型コロナウイルスの経口治療薬(パキロビッド)

新型コロナウイルスがインフルエンザウイルス並みになるには、抗インフルエンザウイルス薬であるタミフル(オセルタミビル)のような、新型コロナウイルスにも有効な経口治療薬の出現が必要です。

本年2月に承認されたパキロビッドは、新型コロナウイルスの重症化を防ぐことで期待されています。

 

しかし、厚労省からの通達では

○令和4年2月28日以降の取扱いについて

 ・本剤を扱える医療機関は、院内処方が可能な病院及び有床診療所

  (試験運用期間からの新型コロナ病床確保医療機関を引き続き含む)

となっています。

つまり、処方できるのは、院内処方が可能な病院及び有床診療所ですので、クリニックが薬剤を使用して重症化を防ぎ入院患者数を減らすことはできません。

ということで、新型コロナウイルスがインフルエンザウイルス並みになるには、まだ、まだ時間がかかります。

 

2022年3月2日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

戦争と感染症

ロシア軍がウクライナに侵攻し、ウクライナを制圧しようとしています。多くの国がロシアの行動を避難しているものの有効な手立てが見つからないと報道されています。ロシアと西欧諸国が武力衝突する可能性は低く、ロシアへの経済制裁により、ロシアの侵攻を止めようとしています。

しかし、経済制裁は制裁する側にも大きなダメージを与えます。特にヨーロッパのエネルギー供給はロシアに大きく依存しています。

このダメージに耐えられるかは、国の体力が維持されていることが必要です。新型コロナウィルス感染症パンデミックにより、世界経済は疲弊しています。そのタイミングを狙ってプーチン大統領が動いたという印象が持たれます。

それでは、現在のロシアの新型コロナウィルス感染症新規感染者数はどの程度でしょうか?約14万人で、人口比で考えると日本の2倍弱でしょうか?

ウクライナは約2万人で人口比で考えると日本と同じぐらいです。

兵士はマスクをしているのでしょうか?

プーチン大統領の判断にはオミクロン株による弱毒化やワクチン接種の浸透が影響を与えたのでしょうか?

世界で最も挑戦的な新型コロナウィルス感染症の出口戦略でしょうか?

今回の武力衝突でウクライナ人は200人以上亡くなったと報道されています。

心が痛みます。しかし、日本では新型コロナウィルス感染症で毎日200人以上が亡くなっています。

戦争、感染症など課題が山積しており、視点の取り方で舵取りは大きく変わります。

日本の道筋は誰が語るのでしょうか?

2022年2月27日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

3回目のワクチン接種後2週間は自重しましょう

新型コロナウィルス感染症3回目のワクチン接種で我が国は大きく遅れを取りました。オミクロン株が2021年末に発見された頃は、日本の1日の新規感染者数は東京でも10名前後と落ち着きを見せていたので、このような事態は予想ができませんでした。ワクチンの確保に出遅れてしまったのかもしれません。

おそらく、今週から来週に感染のピークを迎えそうですが、速やかに新規感染者が減少しなければ、入院ベッドの確保はさらに困難になっていくでしょう。

そんな中ワクチン3回目のワクチン接種をそろそろ予定されてらっしゃる方も多いと思います。ファイザーが良いとかモデルナが良いとか迷ってらっしゃる方もいると思います。副反応は個人によって異なるので、打つ前からどちらが良いということはないと思います。

1つだけ言えることは、どちらのワクチンを打っても免疫がつくのに約2週間かかるということです。ワクチンを打ってもしばらく自重しましょう。1回目のワクチン接種後多くの国で感染者が増えたことを思い出してください。

2022年2月8日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。

感染に対する我が国の危機管理。

変異株がデルタ株からオミクロン株に置き換わり、新型コロナウィルス感染症の爆発的な感染拡大が起こっています。

私は、新規感染者数の増加を我が国のPCR検査能力では感知できないことを1月15日のブログで発信しましたが、残念ながら予測通りになってしまいました。

若い人感染疑いの人にPCR検査が回らないことが危惧され、「検査をしなくても診断できる。」というコメントが厚労大臣からも発信されましたが、検査をしていない感染者の濃厚接触者はどうなるのでしょう?

それだけ、PCR検査が十分行われていないのに、陰性証明で多人数の会食を認めようとする東京都の方針は受け入れられるものなのでしょうか?

感染者の増加のスピードに行政の対応がついていけないことが明らかになりました。肝心なのはこの2−3週間なのに、その間にワクチン、治療薬などを含めて決め手になる政策は、出てくるとは思えません。

新型コロナ感染症の爆発を災害と考えるのであれば、年末年始にアクションを起こすべきでした。行動制限はこの時期にこそ大切で、これから行っても十分な効果は得られないでしょう。

そして、医療は感染者や濃厚接触者の囲い込みを早晩諦めるでしょう。

しかし、一方で感染症に対して十分な対応をできた国がないことも事実です。現在の混乱も2ヶ月程度では収まっていくでしょう。

福島原発事故や新型コロナウィルス感染症から災害対策を学ぶ必要があるのに、政府もマスコミも感染が落ち着けば、その問題を先送りにしてしまうのでしょうか?

1月27日時点の医師横山啓太郎個人の意見です。